〈緊急掲載〉新型コロナウィルスなどの感染症対策について

新型コロナウィルスの影響が出始めている中、中小企業の皆様にとって重要な対策の考え方を産業医である今井先生よりご提供いただきました。

皆様の健康経営にお役立ていただければ幸いです。
------------------------------------------------------
「中小企業における新興感染症対策」

~新型インフルエンザへの対応を通じて得られた教訓~
                                      今井 鉄平(産業医)


 新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が進行しており、日本においても各企業で感染防止や事業継続への備えをしておくことが重要です。


 備えにはまず、企業規模を問わず以下の項目を確認することが大切です。

①最終意思決定者
②外部(例:病原性の情報)・内部(例:社内発症数)情報の収集体制
③感染管理(感染予防策と拡大防止)
④事業継続に及ぼす影響の評価に関する準備


上記4項目は、新興感染症流行に対する備えとして最低限必要なものと言えます。



①最終意思決定者とは、新興感染症の流行期に事業を継続することにより従業員や訪問者等が感染するリスクと、経営存続のために収入を確保する必要性を勘案して事業継続のレベルを決定する最終判断者のことを指します。

②外部情報とは、病原性に関する情報等、事業継続のレベル決定や感染予防策の実施に必要となる社外の資源から得られる情報のことを指します。また、内部情報とは、社内の感染者数等、感染拡大防止に重要となる社内の資源から得られる情報のことを指します。

③感染管理とは、うがい・手洗い・消毒・発熱者の出社自粛等の感染予防策のことを指しますが、対策を実施するための教育・マニュアル・衛生用品の準備等も含まれます。

④事業継続に及ぼす影響の評価に関する準備では、資金繰りなども含めて事業にどのような影響が出るのかをあらかじめ想定しておくことが重要となります。


 中規模企業では、大企業で準備しているような詳細な危機管理計画などがなくても、経営者のリーダーシップの下で臨機応変な対応が取られることが期待できますが、意思決定に必要な情報の収集や解釈に課題があります。そのため、嘱託産業医の関わりを強化することが重要となります。
 
 小規模企業においては、嘱託産業医の関わりが期待できないため(産業医選任義務がないため)、市役所や保健所などの行政機関や地域産業保健センターからの適切な情報提供が望まれます。また、企業規模が小さくなるほど経営者の役割が重要となるため、経営者の代替機能の検討が事業継続に及ぼす影響の評価の中では優先度が高い項目となります。
 
         参考文献:今井鉄平、森晃爾ほか. 災害産業保健入門. 企業通信社